このままずっと眠っていたい気持ちを奮い立たせ、ベッドから起き上がった。

「食器、洗わなきゃ……」

 夕飯は作っておいた。もう食べ終わって寝ている頃だろう。顔を合わせたくないので、彼らが眠ってから後片付けや掃除をするようにしている。

 義母と義姉の私への執着心は恐ろしいものだった。

自分たちが家の仕事をしたくないから、会社に通い詰め、従業員のランチ時の会話を盗み聞きして、私が社長と結婚したことを知ったそうだ。

 私が幸せになり実家から逃げたという事実は、彼女たちの怒りを増幅させ、なにがなんでも私を実家に戻そうと画策していたらしい。

 重い足取りでリビングに行くと、まだ電気がついていた。

まだ起きているようなので、自分の部屋に戻ろうかと思ったけれど、話している内容が自分のことだったので足が止まった。

「捺美の会社、どうする? このまま無断欠勤続けていたらクビになるわよ」

 義母の声だ。

 どうするって、お前が決めることじゃないだろうとムカムカした。