こうなると、次に問題となるのは捺美の上司だ。
これまでは佐伯の営業事務として働いていたが、佐伯がいなくなる以上、誰の下につけるかが課題になる。
佐伯の下でずいぶん頑張ってくれていたから、今度はもう少し楽に働ける環境にしてあげたい──そう思っていた矢先、桂木昌の営業事務が辞めた。
営業部長は「ちょうどいいじゃないか。相性も良さそうだし」と勧めてきたが……おいおい、お前の目は節穴か?
あの桂木だぞ? とんでもないトラブルメーカーだぞ?
今まで以上に捺美が苦労する未来しか見えない!
俺は即座に反対した。
仲良くなる程度ならまだしも、一緒に仕事するなんてごめんだ。
実際、前任の営業事務も桂木のあまりの問題行動に疲弊し、精神的に追い詰められて辞めたらしい。
社内でも桂木の処遇に頭を抱えているというのに、その相手に可愛い妻をあてがうなんて絶対に許せない。
反対だ。反対だったのに……。



