【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。



父のことは高城さんに任せ、私と大翔はタクシーに乗って帰路についた。

 車の中でも外でも、大翔はずっと私の手を握っていた。

指をしっかりと絡める恋人繋ぎで、まるで「もう二度と離さない」と無言の誓いを立てているかのようだった。

 久しぶりに戻ってきたマンション。

もう二度と足を踏み入れられないと思っていただけに、胸に込み上げるものがある。

オートロックを開け、広い玄関に足を踏み入れる。

 以前は「自分には不釣り合い」と思っていたこの場所が──今は、私の帰るべき場所なのだ。

 手を繋いだままリビングへと歩く。

その間、なぜか二人とも一言も口を開かなかった。

私は胸がいっぱいで言葉が出なかっただけ。

でも、大翔の横顔もまた感極まった表情を浮かべていて……もしかしたら、同じ気持ちで黙っていたのかもしれない。

 暗く静かなリビングに明かりを灯す。

整然とした広々とした空間──実家のリビングの倍以上もあるのに、今は不思議と寂しさを感じなかった。