【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「着いたぞ」

 目を覚ますと、タクシーは会社のエントランスに停まっていた。

もう外はすっかり暗い。

てっきり大翔の家に向かっていると思っていた私は、不思議そうに彼を見上げた。

「捺美のお父さんが会社に来てる。家に捺美がいないと気づいて大慌てで探していたそうだ。……すごく会いたがってる。どうする? また今度にするか?」

 途端に心臓が早鐘のように打ち始めた。

(怒られるかもしれない……怖い)

 さっきまで「大丈夫」と思えていたのに、体が拒絶している。

けれど、逃げたくない。

「大丈夫。……向き合うって決めたから」

 震えそうになる声を押しとどめ、大翔を真っ直ぐに見つめて言う。

 彼はまだ心配そうな表情を浮かべながらも、そっと私の背に手を添え、エスコートするように歩き出した。

「捺美のお父さんは、社長室で待っている」

 私はもう一人じゃない。大翔が隣にいる。

大翔と生きていくために、戦わなきゃいけない。

 弱い自分も、呪縛の鎖も、あの日あの崖に捨ててきた。

私は生まれ変わったのだ。

これからは、自分の人生を歩いていく。