【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

性格が無理。俺様系男子は一番苦手。

自信満々で傲慢で、人を見下した態度が鼻につく。

「社長、完全にドン引きされてますよ」

 運転手の人がミラー越しに笑いをこらえきれずにいる。

 社長は「こんなはずでは」とでも言いたげに眉をひそめた。

「私、入社してまだ三年目ですし、今は結婚なんて考えられません。仕事を頑張りたいんです」

 だから残業代も出ないのに、こっそり夜中に会社へ戻って仕事をしていたのだ。

「結婚しても仕事は続けていい」

 きっぱり断ったはずなのに、なおも社長は引かない。

「だからそういうことじゃなくて! 結婚する気はないって言っているじゃないですかっ!」

 苛立ちが募り、つい強い口調になった。

 その瞬間、社長の笑みが消える。

……まずい、怒らせてしまったかもしれない。

 空気が一変し、彼の表情は冷静な仕事モードへ。

 腕を組み、まっすぐに私を見据える瞳は、鋭くも真剣だった。

「じゃあ──離婚前提ならどうだ?」

「……え?」

 離婚前提の結婚ってどういうこと?