【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。



 大翔に引き上げられた私は、その腕の中で昔の記憶を取り戻していた。

 崖の上で出会った、ちょっと生意気な男の子。

 どうして忘れてしまっていたのだろう。

あの子は、私の初恋だったのに。

 あれから辛いことがあっても、「あの子も頑張っているから、私も頑張ろう」と自分を奮い立たせてきた。

 でも年月とともに記憶は薄れ、大好きだったお母さんの笑顔も、優しかったお父さんの姿も、そして初恋の彼のことさえも、思い出せなくなっていた。

「……大翔、私、どうしてこんなふうになっちゃったんだろう」

 見上げた彼の顔が滲んで、自然に涙がこぼれた。

「昔はもっと、強かったのに」

 止まらない涙に、胸が締めつけられる。

 ──『自分の力で幸せを掴み取る』。

そう言ったのは、ほかでもない私自身だったのに。

『意地でも死なない』なんて強がっていたくせに、まるで死に場所を探すように彷徨っていた。

 そんな私を、大翔はそっと抱きしめてくれた。