【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

そして社長となった頃──運命のように、彼女が最終面接に現れた。

 一目でわかった。あのときの少女だと。

 だが、捺美は俺を覚えていないようだった。

 面接官の質問に堂々と答える姿は凛として、聡明で、根性と意志の強さは何ひとつ変わっていなかった。

 変わらぬ彼女がそこにいる。それだけで、俺は嬉しくてたまらなかった。

 ただ、一つだけ大きく変わっていた。

 昔はあんなに明るく、眩しいほどエネルギッシュだったのに──今の彼女は、どこか憂いを帯びていた。

 大人になった捺美は、誰もが息を呑むほど美しく成長していた。

けれど、人との間に大きな壁を作っているようで、気軽に声をかけられる雰囲気ではなかった。

 彼女が希望していた職種に限らず、社会に出ればコミュニケーション能力や愛想の良さも必要とされる。

まして、捺美の学歴は他の応募者と比べて決して高くはない。

面接の場でも、採用に難色を示す声はあった。

 けれど──学歴だけで人を選ぶ方針は、すでに俺の代で撤廃していた。

 捺美が入社してからも、折を見ては様子を見に行った。

 けれど──肝心の本人は俺のことをすっかり忘れていた。

だから声をかけることすらできなかった。

 運命だと思っていたのは、俺だけ。

 きっとこれは運命なんかじゃなかったのだと、自分に言い聞かせていた。

 それが、急展開で結婚することになり、今ここにいる。

 捺美との出会いは、運命か、それとも偶然か──?

 答えはひとつ。たとえ運命じゃなかったとしても、俺が運命に変えてみせる。

 俺の人生は、俺の手で切り開く。

 ……捺美、お待たせ。

 助けに来た。おまえを闇の世界から必ず救い出す。