【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。



 あの時以来の滝山城址。

 幼い頃には薄気味悪く思えた山道も、大人になった今ではなんてことのない普通の山道だ。

 会社から飛び出してきたせいで、スーツに革靴という不格好な姿だったが、構ってはいられない。

息を切らしながら山道を駆け上がった。

 頂上にたどり着き、視線を巡らせる。崖の近くに、ぽつんと一人の女性が立っていた。

 あのときと同じ場所に立つ捺美の姿に、胸が熱くなる。

 ──あれからずっと、捺美の言葉が俺の支えだった。

 『自分のために頑張る』その言葉を胸に刻んでから、何もかもが変わった。

 他人の期待ではなく、自分の意志で走ればいい。

そう気づいた瞬間から、未来は開けていった。

 家業を継ぐことも、義務ではなく、自分の選択として。

二代目は無能だという世間の固定観念を覆してみせる。

そのために、誰よりも努力を重ねてきた。