【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 どうする。本当のことを言うか? 

だが、もう死ぬつもりなら、最後くらい誰かに本音を話してもいい。

「……俺は自殺しに来た。ここは心霊スポットって知らないのか? 崖から飛び降りれば、跡形もなく消えられる。だから子どもが来る場所じゃない。さっさと帰れ」

「心霊? 幽霊が出るってこと? 私、よくここに来るけど見たことないよ。それより……死にたいの? どうして?」

「ガキに説明してもわからないさ。俺の苦しみは海より深いからな」

「自分だけが不幸みたいに言うの、ダサ」

 小さな腕を組んで、細めた目で見下ろすように言う。

思わず頭に血が上り、声を荒らげた。

「お前に何がわかる! 親が死んだ苦しみなんて、想像すらできないだろ!」

「……私のお母さんも死んだよ」

「……え?」

「一年前、病気で」

嘘には見えなかった。

一瞬言葉を失ったが、負けじと返す。

「でも、俺は両親が死んだ。……俺の方が不幸だ」