【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

ここで多くの命が失われた歴史を思えば、土塁や井戸の景色さえ違って見えた。

 頂上に出ると、そこには一面の草地が広がり、陽光に照らされていた。

開放的な場所のはずなのに、俺には不気味でしかなかった。

 当時の俺にとって、生きていることそのものが苦痛だった。

 未来なんて、生まれ落ちた瞬間から決められていた。

跡取りとして誰よりも優れていなければならず、失敗など許されない。

 両親の壮絶な死も、心に深く傷を刻んだ。

学校に行けば「生意気だ」と疎まれ、いじめの標的になる。

 家にも、学校にも、居場所はなかった。

未来に希望を見いだすこともできない。

 ならば、どうして苦しみだけの人生を生き続けなければならないのか。

 そんな問いに答えが出せず、俺は自ら終わらせることを選んだ。

 死ねる場所を探して歩いていると、不意に井戸の後ろから人影が現れた。

 驚いて声を上げた俺は、一瞬それを幽霊だと思った。