【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「すぐ出ろ!」

「はい……えっ、捺美さんが?」

 嫌な予感に胸がざわめき、固唾をのんで高城の顔を見つめる。

 やがて電話を切った高城が、困惑を滲ませながら報告した。

「捺美さんが、一人で家を出たそうです。行き先はまだわかりませんが、とにかく後を追っているとのことです」

「捺美……!」

 次の瞬間、もう身体は勝手に動いていた。

財布と携帯だけを掴み、社長室を飛び出す。

「社長、捺美さんがどこへ向かうか、心当たりがあるのですか⁉」

「わからん!」

 背後で高城が呆れ声を上げるのが聞こえた。

 それでも、じっとしてはいられなかった。

胸の奥を締めつける嫌な予感が、俺を突き動かしていた。