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「社長、見つけました。捺美さんが姿を消した日のことです。タクシー乗り場で、彼女に声をかけていた人物が防犯カメラに映っていました」
社長室で書類に目を通していた俺に、高城が報告を持ってきた。
「タクシー乗り場? 仕事帰りか」
「はい。義母と義姉は監視していたので社内には入れませんでしたが……お父様はノーマークでした。しかもスーツ姿でしたので、取引先の社員と見なされ、周囲に溶け込んでしまったようです」
会社には毎日多くの取引先が出入りする。
私服の女性なら目立つが、スーツ姿の中年男性なら埋もれてしまう。
「……やはり、父親が原因だったか」
「そのようです。二人は少し会話を交わしたあと、一緒にタクシーに乗り込みました」
そして捺美は、あれほど嫌がっていた実家に戻った。
絆というよりも、呪縛。
実の親という存在は、それほどまでに彼女を縛るのか。
「社長、見つけました。捺美さんが姿を消した日のことです。タクシー乗り場で、彼女に声をかけていた人物が防犯カメラに映っていました」
社長室で書類に目を通していた俺に、高城が報告を持ってきた。
「タクシー乗り場? 仕事帰りか」
「はい。義母と義姉は監視していたので社内には入れませんでしたが……お父様はノーマークでした。しかもスーツ姿でしたので、取引先の社員と見なされ、周囲に溶け込んでしまったようです」
会社には毎日多くの取引先が出入りする。
私服の女性なら目立つが、スーツ姿の中年男性なら埋もれてしまう。
「……やはり、父親が原因だったか」
「そのようです。二人は少し会話を交わしたあと、一緒にタクシーに乗り込みました」
そして捺美は、あれほど嫌がっていた実家に戻った。
絆というよりも、呪縛。
実の親という存在は、それほどまでに彼女を縛るのか。



