【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 重い足取りでリビングに向かうと、まだ明かりがついていた。

部屋に入らず戻ろうとしたけれど、耳に届いた会話が自分のことだったので、思わず足を止めてしまう。

「捺美の会社、どうするつもり? このまま無断欠勤を続けたらクビになるわよ」

 継母の声が聞こえた。どうするも何も、あなたが決めることではない──心の奥で怒りが弾ける。

「再就職させればいいじゃない。介護とか清掃とか、人手が足りないし、すぐに雇ってもらえるって」

 今度は継姉の声。ならば、あなたが働けばいい。

いつまで家で遊んでいるつもりなのか。

 フリーターをやめてニートになった継姉は、日中の暇を持て余し、私の会社にまで押しかけて私を探し回っていたと聞いた。

「バカね。そんな職じゃ年収が全然違うのよ。うちに入るお金が減るでしょう?」

 私の給料を、当然のように家計に組み込む言葉。

私はあなたたちのために働いてきたわけじゃないのに。