【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

(消えてしまいたい……)

 そんな考えが、頭の中を埋め尽くしていく。

死にたいくらいなら大翔のもとへ駆け出せばいいのに、それすらできない。

恐怖に縛られて、動けない。

 昔からそうだった。嫌だと言えばいいのに、恐怖で声が出ず、結局は言いなりになる。

まるで命令だけで動くロボットみたいに。

 いっそ感情なんてなくなってしまえばいい。

そうすれば、悲しみも悔しさも、そして大翔への想いさえ失って、楽になれるのに。

 それでも私は、重い身体をなんとか起こす。

「……食器、洗わなきゃ」

 夕飯は作っておいた。もう継母と継姉は食べ終えて眠っているはずだ。

顔を合わせたくなくて、彼女たちが寝静まってから片付けをするのが習慣になっていた。

 彼女たちの私への執着は異常だった。

家事を避けたい一心で会社にまで押しかけ、従業員の雑談を盗み聞きし、私が社長と結婚したことを嗅ぎつけたのだという。

 私が幸せになり実家を出たという事実は、彼女たちの怒りを増幅させ、なんとしてでも私を家に縛りつけようと行動を加速させた。