【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

第十一章 シンデレラの結末

「シンデレラは王子様と結婚して、幸せに暮らせ……ませんでした」

　電気もつけず真っ暗な部屋で、布団に頭まで潜り込みながら、小さく呟いた。


　自分のことをシンデレラだなんて、思い上がりも甚だしいとわかっている。

けれど、数日前の私はたしかに夢のような世界にいた。

　素敵な王子様と結婚して、意地悪な継母や継姉から解放され、幸せに生きていけると信じていたのに……現実はそんなに甘くなかった。

「シンデレラは王子様と離婚することになりました。ちゃんちゃん」

　冗談めかしてみても、胸の奥は空っぽで、痛いくらいに苦しい。

大翔はもう、離婚届にサインしただろうか。

もしかしたら、こうして私が布団にくるまっている間に、夫婦という繋がりは完全に断たれてしまったのかもしれない。

　気づけば涙が枕を濡らしていた。どれだけ泣いても終わりは見えない。

泣き尽くしたはずなのに、まだ涙はあとからあとから溢れてくる。

　もう疲れた。生きているのが辛い。

身体は重く、何もしたくないのに、掃除や食事の支度を怠れば責められる。

　私って、なんのために生きているのだろう。