【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

　俺は喉が焼けるように乾くのを感じながら問いかけた。

「つまり……トリガーは、父親か」

　先生は静かに頷いた。

「そういう可能性がある、ということです」

　最後まで断言はしなかった。

けれどその慎重さが、逆に言葉の重みを増していた。

「継母や継娘に気を取られていましたが……本当の鍵は父親だったのですね。高城、大至急調べろ」

　俺の命令に、高城は即座に「はい」と頷く。

「先生、最後に一つ、聞かせてください」

「なんでしょう」

「捺美は……親の呪縛から逃れることができるのでしょうか」

　俺はまっすぐ先生の目を見つめた。

先生はしばらく考え込み、それから慎重に言葉を紡いだ。

「子どもの頃に受けた心の傷は、本人が思う以上に深く、長く影響します。幸せな家庭を築こうとしても、結局その過去に縛られ、人間関係が壊れてしまう方も少なくありません。ですが――」