「いや、構わない。むしろ助かる」
俺も知りたかった。彼女の心を。
理由も知らずに無理やり連れ戻しても、きっとまたすれ違うだけだ。
柳田先生は、穏やかな表情のまま静かに口を開いた。
「資料を拝見しました。捺美さんは、いわゆるヤングケアラーだったようですね」
ヤングケアラー。
本来は大人が担うはずの家事や家族の世話を、日常的に子どもが負うこと。
「二十歳を超えると『若者ケアラー』と呼ぶこともありますが、彼女は十代から継続して家族を支えてきた。ですから、ここでは一般的に広く知られている『ヤングケアラー』という言葉を使わせていただきます」
専門用語はどうでもよかった。
ただ、彼女の心の奥底を知りたかった。
俺は黙って頷いた。
「実家から離れたがっていたのに戻ってしまった理由……社長はそこを知りたいのですよね。あくまで仮説にすぎませんが、多くの同じ境遇の方が抱く思考の傾向として、お話しします」
「お願いします」
言葉を許すと、先生は落ち着いた声で続けた。
俺も知りたかった。彼女の心を。
理由も知らずに無理やり連れ戻しても、きっとまたすれ違うだけだ。
柳田先生は、穏やかな表情のまま静かに口を開いた。
「資料を拝見しました。捺美さんは、いわゆるヤングケアラーだったようですね」
ヤングケアラー。
本来は大人が担うはずの家事や家族の世話を、日常的に子どもが負うこと。
「二十歳を超えると『若者ケアラー』と呼ぶこともありますが、彼女は十代から継続して家族を支えてきた。ですから、ここでは一般的に広く知られている『ヤングケアラー』という言葉を使わせていただきます」
専門用語はどうでもよかった。
ただ、彼女の心の奥底を知りたかった。
俺は黙って頷いた。
「実家から離れたがっていたのに戻ってしまった理由……社長はそこを知りたいのですよね。あくまで仮説にすぎませんが、多くの同じ境遇の方が抱く思考の傾向として、お話しします」
「お願いします」
言葉を許すと、先生は落ち着いた声で続けた。



