【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「じゃあ──捺美と何を話していた」

 俺が重ねて問い詰めると、彼女は絶句したようにソファにもたれ、天を仰いだ。

「……はあ、ほんっとめんどくさい。そんな束縛男と結婚したら、そりゃ捺美も逃げ出しますよ」

 おい。俺、社長だぞ?

 喉まで出かかった言葉を、必死に飲み込む。

「捺美と呼んでいるのですね。──では、捺美さんはあなたをなんと?」

 高城が外面の柔らかな笑みを貼りつけ、穏やかに質問を挟んだ。

「普通に桂木さんですよ。私の方が一歳上だし」

「……なるほど。けれど呼び捨てというのは、ただの同僚にしてはずいぶん親しい印象を与えますね。捺美さんとは友達ではなかったのですか?」

「いや、私、年下は基本呼び捨てなんで。敬語もあんまり使わないし」

(……それなら、せめて年上には敬語を使え)

 心の中で毒づきながらも、じっと彼女の反応を観察した。