【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。



 結局その日、私たち夫婦は揃って午後から出勤した。

 誰も何も言わなかったのは、大事な用事があったと思われたからだろう。

 そのぶん私は、率先して仕事を手伝い、周囲に迷惑をかけないように努めた。

分厚い壁を作ってきた私が、自分から声をかけて仕事を手伝うなんて、これまでになかったことだ。

 少しだけ心に余裕が生まれたのかもしれない。──人間は、思っていたほど怖くないのかもしれないって。

 契約結婚を解消して、大翔と本物の夫婦になって。

 今は幸せの絶頂だった。毎日が光に包まれるように、眩しくて、満ち足りていた。

 もしかしたら、この幸せは神様が最期にくれた贈り物だったのかもしれない。

 ずっと虐げられてきた私に、「生きることは辛いことばかりじゃない。素敵な日々も、素敵な人もいるんだよ」って教えてくれるために。

 ──けれど、その幸せは長くは続かなかった。