【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。



 大企業の御曹司である大翔と、虐げられて育った私。

 決して交わるはずのない世界で生きてきたのに──今、私たちは名実ともに本物の夫婦となった。

 互いのぬくもりを感じながら、一つのベッドで眠るとき、胸の奥まで幸福感に満たされる。

 こんな気持ちを知ったのは、初めてだった。

 私はこれまでずっと、空虚で、寂しくて、愛情に飢えていた。

 傷つくのが怖くて、誰にも心を開けなかった。

 好きになるという感情さえよくわからず、必要以上に人に近付くことを避けてきた。

 人は怖い──そう思って生きてきた。

 悪意ある人間は、罪悪感なく人を傷つける。

どんなに正論をぶつけても、良心に苛まれることなく、自分を正当化する。

「これはあなたのため」なんて、理解できない言葉を盾にして。