【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 目を見開いた私の前で、ヘリコプターがローターを回し、今にも飛び立ちそうにしている。

 大翔は迷いなく歩み寄り、操縦席のパイロットと、待機していたスタッフに声をかけた。

「いつでも離陸可能でございます」

 スタッフが深々と頭を下げる。

「急に悪いな。ありがとう」

 さらりと応じる大翔。

突如現れたヘリコプターに、驚きを通り越して私はその場に固まってしまう。

 そんな私をよそに、大翔は迷いなく機体へと乗り込み、ほどなくして大きなバラの花束を抱えて戻ってきた。

「……はい、プレゼント」

 照れくさそうに笑いながら差し出される花束。

「あ、ありがとう……」

 受け取ったものの、記念日でもないのにどうして? 意味がわからない。

 胸の奥で戸惑いが渦巻く私をよそに、大翔は柔らかい声で言った。

「さあ、乗ろうか」

 大翔が私の腰に手を添え、エスコートするようにヘリコプターへ導く。

「本当に乗るの?」

 目の前にヘリがある時点で覚悟はしていたけれど、心の準備もないまま乗り込むのは勇気がいる。