【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 話があるのなら、自宅でいいはずだ。なのに、わざわざ社長室に呼び出す意味とは──。

 今朝、離婚を切り出したばかりだからこそ、余計に大翔の真意が気にかかる。

 深く息を吸い込み、エレベーターに乗り込んで最上階のボタンを押した。

 フロアに降り立った途端、社長室のドアが開き、高城さんが姿を現す。

「お待ちしておりました」

 まるで執事のような上品な微笑みを浮かべながら、社長室へどうぞと手で促してきた。

 胸の奥が妙にざわつき、落ち着かない。

大翔はどうして、わざわざ私を呼び出したのだろう。

 社長室に足を踏み入れると、壁際で夜景を見下ろしていた大翔が、ゆっくりと振り返った。

 視線がぶつかった瞬間、独特の緊張が二人の間に走る。互いに相手の出方を探るように、じっと見つめ合った。

「……デートしよう」

 大翔は、どこか不器用な微笑みを浮かべてそう言った。

「デート?」

 思わず眉間に皺を寄せ、聞き返してしまう。