【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

今日は、どっと疲れが押し寄せていた。

 今朝、つい口にしてしまった「離婚」の二文字。

 本当は、大翔と離婚したいわけじゃない。

むしろ逆だ。離婚なんてしたくない。

 けれど、このままずるずると結婚生活を続けていけば、いずれ辛くなるのは目に見えていた。

 だって、日に日に大翔への気持ちは膨らんでいくばかりで──離婚なんて拒みたくなるほどに。

 彼は、私が大翔を好きにならない女だと思ったから、結婚相手に選んだのだ。

いつでも離婚できるように。

なのに、もし「好きになったから離婚したくない」なんて言ってしまったら、契約不履行だ。

そんなの、絶対に許されるはずがない。

 だからこそ、「そろそろ離婚しない?」なんて言葉を口にした。

 これ以上、傷つきたくなかったから。

 それなのに大翔は、「また今度な」と軽く受け流す。

 ──今度じゃ駄目。今じゃなきゃ意味がない。私が契約を破ってもいいの⁉ 

そんな本音を飲み込んだまま、話は有耶無耶に終わってしまった。

 そろそろ帰ろうと身支度を整えていたとき、大翔からラインメッセージが届く。

『仕事が終わったら、社長室に来てほしい』

 瞬時に胸がざわめき、不安が押し寄せた。

 いつもは別々に帰るのに──どうして、今日に限って。