【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

《実は、海外転勤の話があって》

《ええ⁉ どこの国ですか⁉》

 やはり海外転勤の話か。

《好きな場所でいいらしい。最初は副支店長として経験を積んで、将来的には支店長に。日本に戻れば相応のポジションを用意して待っている……という条件だ》

《とてもいい話じゃないですか!》

《俺としても、海外で学びたい気持ちはある。英語も多少はできるし》

多少じゃないだろ。TOEIC九百点超えだろ。履歴書にちゃんと書いてあったぞ。

《佐伯さんの将来を考えるなら、行った方がいいと思います。ただ……寂しいな、とは思います》

「やっぱり、この二人……できていますね」

 高城が横目で俺を見ながら言う。

「……」

 思わずギロリと睨み返した。

 聞いてしまっていいのか――。

 人として越えてはいけない一線だとわかっていながら、耳はどうしても離れない。

《そのことだが……一緒に来ないか?》