【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「……これは、なにを聞いているんだ?」

「会議室にボイスレコーダーを仕かけておきました。これで佐伯と捺美さんの会話を聞けます」

「おい……そんなことまでして大丈夫なのか?」

「問題ありませんよ。録音は法的証拠として有効とされています。仮に責められたとしても、パワハラやセクハラ防止のためだと言えば言い訳は成り立ちます」

(……うわ、怖っ)

味方なら心強いが、敵には絶対まわしたくないタイプだ。

「どうして佐伯と捺美が会議室に入ったってわかった? まさか隠しカメラでも――」

「いいえ、そこまではしていません。スパイがいるのですよ。さきほどメールで知らせが届きました」

「お、おお……」

 さすがにやりすぎでは……と胸の奥がチクリと痛む。

 それでも、聞きたい気持ちを抑えきれず葛藤する。

 ザザ……と小さなノイズのあと、スピーカーから聞き慣れた声が流れた。

《どうしたのですか?》

 捺美の声だ。……声まで可愛い。