翌日から、捺美はあからさまに俺との距離を取るようになった。
車の後部座席に並んで座っても、さりげなく体を離される。
挙げ句の果てには、キスを拒まれる始末だ。
あれほど強く願ったというのに、むしろ逆に離れていくなんて。
神も仏も信じていない俺が、あれほど願ったのに、むしろ逆に遠ざかっていく。……どうやら俺は、神仏とやらにとことん嫌われているらしい。
胸の奥がざわつく。
振られるカウントダウンが始まったようで、どう接すればいいのかもわからない。
どう接していいのかわからず、ただうろたえるばかりの日々。そんな中で、あの出来事は起きた。
他人にとっては些細でも、俺にとっては揺るぎない大事件だった。
──それは、爽やかな日差しがリビングをやわらかく照らす、ある朝のこと。
捺美が「ついでだから」と用意してくれた朝食を食べ終え、コーヒーを口に含んだとき。
「ねえ、そろそろ離婚しない?」
買い物にでも誘うような軽い調子で告げられた言葉に、喉が詰まりそうになった。
コーヒーを吹き出しそうになりながら、心臓が早鐘を打つ。



