【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 思わず口にした俺の提案に、高城は声をあげて笑った。

「社長のほうが悪賢いじゃないですか! この前、東南アジアで殺されかけたばかりでしょう?」

「ああ……本気で死ぬかと思った」

「空港で拉致されたんでしたね。お金を持っているように見えたから」

「そうだ。現地の男どもに囲まれて車に押し込まれ、携帯も財布もパスポートも全部奪われて、山奥に放り出された」

「よく生きて帰ってきましたよ。しかも結婚式の前日に」

「執念だ。あのチャンスを逃したら、捺美と結婚できないと思ったからな」

 山奥に置き去りにされた俺は、なんとか自力で支店まで辿り着いた。

 その後、支店長を伴って大使館に駆け込み、俺の身分を証明させた。

 国のイメージダウンを盾に、復旧工事を最優先で進めさせ、俺の早期帰国を条件に取り引きした。

 支店はそこまで大きな損害はなかったが、電気やガスといったライフラインの復旧が遅れて困っていた。

 そこで俺が大使館と掛け合い、行政を動かして工事日程を前倒しにしたことで、現地の支店長はとても喜んでくれた。

とはいえ、現地視察に来たはずが、拉致されて支店長に余計な仕事を増やしてしまった。

せめてその分は取り返さなければ、視察に来た甲斐がない。

 結果的に無事帰国できたとはいえ、トラウマ級の出来事である。