【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「極端だな、お前は! お前の周りはそういう女が多いのかもしれないけど、捺美は違う!」

「初恋だからって幻想を抱きすぎです。魅力的な女性っていうのは、本人にその気がなくても、男にそう思わせてしまうものなんですよ」

 高城の口調は軽いのに、妙に説得力がある。

反論しようとしても、言葉が出てこない。

 畳みかけるように、高城がさらに囁いた。

「邪魔になる人間は、遠ざけてしまいましょう。ただし彼をクビにするのは会社にとって大きな損失です。ならば――海外の支店長に昇進させるのはどうでしょう。アメリカ、イギリス、フランス、台湾。赴任先を選ばせれば文句は出ません。キャリアにもなる。断る理由なんてないでしょう」

「そんな個人的な理由で人事を動かせるか」

「次期支店長候補の副支店長という肩書きなら、現地でも問題なく収まります。現支店長にはそれなりのポストを用意すれば喜んで後任を育てるでしょう。――会社にとってもメリットのある話ですよ。日本にいたら年齢的にこれ以上は昇進できない。才能を埋もれさせるのは惜しいです」

 もっともすぎる言い分に、心が揺らいでしまう。

「……東南アジアの支店長にするのはどうだ?」