【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「君は捺美の直属の上司だよな?」

「はい。いつも支えてもらっています」

「ずっと一緒に仕事できて、いいな」

 本音がつい漏れた瞬間――。

「……はい。癒しですから」

 遠くの捺美を見つめながら、佐伯が目を細めて言った。

 まてまてまて。これは……マウントか!?

 新婚の俺に、部下が妻を「癒し」呼ばわり? しかも社長兼夫に対して?

 ――よし、いいだろう。受けて立つ。盛大にマウントを返してやる!

「まあ、俺はプライベートの捺美の顔も知ってるからな。あいつは素顔も可愛いんだ。すごいだろ」

「……もともと化粧、薄いですからね」

佐伯のさらりとした返しに、俺は心の中で舌打ちする。

「捺美は料理も上手い! 肉じゃがなんて絶品だったぞ!」

 自慢げに言い放つと、佐伯は一瞬だけ悔しそうに表情を曇らせた。