【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「社長夫人だからって何もかも甘やかされるのも問題でしょう。仕事の注意なら普通のことです」

 正論すぎて言い返せない。俺が過保護で過干渉なのは自覚している。

 それでも胸のざわつきは収まらなかった。

「佐伯って男に関していえば、気にするところはそこじゃないと思いますよ」

「どういうことだ?」

「不愛想で仕事に厳しいけれど、女性社員の評価は高いんです。なぜだと思います?」

「イケメンだからか?」

佐伯の顔はもちろん確認済みだ。

たしかに整った顔立ちだが──顔なら俺だって負けてはいない。

「顔がいいだけじゃないそうですよ。意外と優しい一面もあるとか」

「優しいなら、部下が異動願いを出すはずないだろ」

「それが……本当の理由は、振られたから、らしいですよ」

 高城が口元に意地悪な笑みを浮かべる。