【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「……高城。これはどういうことだ」

「ああ、夜の“謎のミーティング”の件ですね」

 先に目を通していた高城が、涼しい顔で言う。

ふざけているようで、この男の仕事はいつも早い。

「特に急ぎの案件もないのに、二人でミーティングルームを使用していた。ちょっと怪しいでしょう?」

 昨日、捺美の帰りが遅かったのはこれか。

胸の奥に嫌な熱が広がる。

「佐伯って男、仕事はできるらしいが、部下が何人も音を上げて異動願いを出したって聞いたぞ。パワハラか? それともセクハラか?」

 俺が眉間に皺を寄せて怒りを滲ませるのに対し、高城は肩をすくめて飄々としている。

「それは婚約の時に調べたじゃないですか。厳しいだけで不正はなく、むしろ佐伯さんの下で働けて良かったと報告していたそうですよ、奥さんは」

「じゃあ、なぜ二人きりで密室に入った。パワハラの叱責だったんじゃないのか」

 詰め寄る俺に、高城はあきれ顔だ。