【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 蛇口から流れ続ける水を見つめながら、私は立ち尽くす。

 止めなきゃ、もったいない。そう思うのに、手が動かない。

 胸の奥で、心が悲鳴を上げていた。

それを必死で押し殺すだけで、他にはなにもできなかった。

(好きだなんて言ったら、すべてが崩れる。気持ちを悟られちゃいけない。押し殺すのよ。感情を押し殺すのは、私の得意分野でしょ?)

 辛いときも、苦しいときも、泣き叫びたいときも、ずっと耐えてきた。

 だから大丈夫。今回だってきっと、やり過ごせる。

 ――私は、幸せになんてなれない運命だから。

 そう、昔から決まっている人生なのだから。