【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

どうしよう。嫌じゃない、どころか……むしろ望んでいる。

 流れに身を任せてしまいたい。けれど、そうしたら?

 もっともっと、大翔を好きになってしまう。

別れが来たとき、耐えられなくなって、「離婚なんて嫌!」と泣いて縋ってしまうかもしれない。

 でも……もしそういう関係になれば、離婚の時期を遅らせることができるかもしれない。

もしかしたら、大翔だって「離婚したくない」と思ってくれるかもしれない。

 ――けれど。

「さすがに、無理だよ」

 喉の奥から絞り出すように声を出した。

 どれほど先延ばしにしても、結末は変わらない。

遅らせれば遅らせるほど、別れの痛みは深くなるだけ。

そんなの、耐えられない。

「……そっか」

 小さく呟いて、大翔は後ろから回していた腕をゆっくりと解いた。

 そして、そのまま静かにリビングを出て行ってしまった。