【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「新婚さんごっこみたい」

 冗談めかして言うと、「ごっこなのか?」と不満そうな声が返ってきた。

「ごっこでしょ」

 努めて明るく言ったが、胸の奥はずきりと痛んだ。

(ちゃんと自立しなきゃ。大翔が私を選んだのは、いつでも離婚できるようにするため。『離婚したくない』なんて言わせないために……)

 そうやって自分に言い聞かせる。

 けれど次の瞬間、大翔が耳元で囁いた。

「今夜さ、俺の部屋で一緒に寝ない?」

 その言葉に、一瞬で身体が硬直した。

え……それって……。

「嫌?」

 嫌ではない。むしろ、嬉しい。

 そのまま流されてしまえば――。

 心臓が太鼓のように鳴り響く。