【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 思わず胸が熱くなる。

甲斐甲斐しさに感動して言葉を失っていると、大翔は手際よく料理を並べていく。

 エビチリ、油淋鶏、そしてふかひれスープ。

……ま、待って。私より本格的なんだけど!?

「大翔って、普段は料理なんてしないんだよね?」

「まったくしない。手間がかかるし、正直大変だな。でも……作ってみると面白いな」

 苦笑しながらもこの完成度。

料理にまで一流の結果を出してしまう大翔に、尊敬すら覚えてしまう。

 なにをやっても器用にこなす人――それが彼なのだろう。

 でも今はただ、私のためにこんなに尽くしてくれている。

それがたまらなく嬉しかった。

 二人でビールを片手に、大翔の手料理を頬張る。

 会社から疲れて帰ってきて、温かい料理が待っている――そんな当たり前の幸せに、頬がゆるんだ。

「今日は遅かったな」

「うん、会社の人と話していて」

 大翔が手を止め、じっと私を見る。

「……男?」

「そりゃね。上司だから」

「なんの話?」

 胸が詰まる。本当のこと――離婚のことなんて言えるはずもなくて。

「……色々と。仕事の話だよ」

「ふ~ん」

 納得したのかどうか、大翔の目がわずかに細められた。

 大翔は、どこか不機嫌そうな顔をしていた。

……もしかして、やきもち? いやいや、さすがにそれはないよね。