「工藤の抱えているものは、よくわかった。これからは……俺に頼れ」
「えっ、いや……」
大翔に頼れなくなったからといって、今度は佐伯さんに頼るなんて――そんなの、男を利用する小悪魔みたいじゃないか。
私は依存なんかせず、離婚したら心機一転、仕事に全力投球して自分で人生を切り開いていくつもりだ。
「佐伯さんのお気持ちはありがたいのですが、私は自分の力で生きていけます。ただ……社長と離婚したら、職場に居づらくなるかもしれません。そのときサポートしてくださるなら、とても心強いです。そういう意味で“俺に頼れ”と言ってくださったのなら、ありがたく頼らせていただきます」
にっこり笑ってそう告げると、佐伯さんはなにかを言いかけて、しかし結局「……わかった」とだけ口にした。
◆
家に帰ると、すでに大翔が帰宅していて、キッチンで慣れない手つきながら真剣に料理に向き合っていた。
「おかえり。ちょうど飯が炊き上がったところだ」
「え、これ……作ってくれたの?」
「料理を覚えようと思って。この前、捺美が夕飯を作ってくれただろ? 嬉しかったから、俺もやってみようと思ったんだ」
「えっ、いや……」
大翔に頼れなくなったからといって、今度は佐伯さんに頼るなんて――そんなの、男を利用する小悪魔みたいじゃないか。
私は依存なんかせず、離婚したら心機一転、仕事に全力投球して自分で人生を切り開いていくつもりだ。
「佐伯さんのお気持ちはありがたいのですが、私は自分の力で生きていけます。ただ……社長と離婚したら、職場に居づらくなるかもしれません。そのときサポートしてくださるなら、とても心強いです。そういう意味で“俺に頼れ”と言ってくださったのなら、ありがたく頼らせていただきます」
にっこり笑ってそう告げると、佐伯さんはなにかを言いかけて、しかし結局「……わかった」とだけ口にした。
◆
家に帰ると、すでに大翔が帰宅していて、キッチンで慣れない手つきながら真剣に料理に向き合っていた。
「おかえり。ちょうど飯が炊き上がったところだ」
「え、これ……作ってくれたの?」
「料理を覚えようと思って。この前、捺美が夕飯を作ってくれただろ? 嬉しかったから、俺もやってみようと思ったんだ」



