【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

今さら境遇を嘆いたところで、何も変わらない。

 溢れそうな負の感情を押し込め、諦めて受け入れるようになったのは──いつからだっただろう。

 お母さんが亡くなった時?

 継母や継娘に反抗して、頬を打たれた時?

 ……違う。

 叩かれ、暴言を浴びせられても、お父さんが助けてくれなかったあの瞬間だ。

 視線ひとつ寄こさず、まるで別の世界に生きているかのようにテレビを見続けていた父。

 あの時、小学生の私が生きていくためには、全てを諦めるしかなかった。

 朝は誰より早く起きて洗濯機をまわし、朝食を作り、掃除をする。

 学校から帰れば洗濯物を取り込み、夕飯を作る。

そんな毎日で、勉強する時間なんてなかった。

授業中に覚えようとしても、疲れ果てて眠ってしまうこともあった。

 近所の人たちも、うすうす気付いていたはずだ。

だから継母は取り繕うように、私を大学に進学させた。

 本当は高校を卒業したら働きたかった。

奨学金で学費を払っていたから、これ以上借金を背負いたくなかったのに。

 それなのに高校三年の夏、急に「大学に行きなさい」と言い出した継母。

必死に勉強しても公立は受からず、結局、私立の四年制大学へ。

家庭にお金がないわけじゃないのに、奨学金の利子は重くのしかかる。

 ──就職して家を出る夢は、そこで潰えた。