【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「社長との結婚は、あまりに突然だった。正直、なにかあるんじゃないかと思っていた」

 探るような視線。

核心を突かれる言葉に、胸がざわつく。

「……まあ、そうですよね。なにもないのに電撃結婚なんて」

 言葉を選びながらも、わざと匂わせるように答える。

佐伯さんは口が堅いはずだし、いずれ離婚するなら、あらかじめ伝えておいた方がいいのかもしれない。

「ここじゃあれだ。少し場所を変えて話さないか?」

 どうしよう――断るなら今しかない。

大翔とのことは本来、誰かに話すべきことじゃない。

 それでも、佐伯さんには知っていてほしい気もした。

離婚すれば社内での立場は厳しくなる。

味方が一人でもいた方がいい。

「そう、ですね」

 私たちはノートパソコンとメモ帳を片手に立ち上がり、奥のミーティングルームへ向かった。

会議のために移動するのだと周囲に思わせるためだ。

 六人掛けのテーブルが置かれた部屋に入り、ドアを閉める。

静かな空気の中、向かい合って椅子に腰を下ろすと、本当に会議を始めるような気持ちになった。

「話せる範囲でいい。俺にできることがあれば、工藤の役に立ちたい」