【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

考えるだけで怖くなる。

辞めるつもりはないから耐えるしかないけれど、きっと風当たりは強くなる。

……それでも、佐伯さんだけは変わらない気がした。

「幸せになるって、なにかを失うことなのでしょうか」

 気づけば本音が零れていた。

 実家から離れること。それが人生で最大の目標だった。

彼らから逃れれば幸せになれると信じていた。

 だからこそ大翔からの提案に乗り、呪縛から解き放たれた。

けれど今は、離婚したら失うものが大きすぎると気づいてしまった。

 人は得たものを失うことに強いストレスを感じるという。

なにも持たなかった私は知らなかった感覚だ。

仕事のことも、一人暮らしのことも不安。

でも何より――大翔と離れることが一番怖い。

 契約時には想定もしていなかった悩み。

まさか、好きになってしまうなんて。

「今、辛いのか?」

 佐伯さんが真剣な眼差しを向けてくる。

「う~ん……まあ、色々ありますよね」

 笑ってごまかすしかなかった。