【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「生産部でトラブルがあってな。その対応中だ」

「そうなんですね。……私にできることはありますか?」

「いや、大丈夫だ。――それより、最近絶好調だな」

「絶好調?」

 思わず手を止め、彼の顔を見つめる。

無表情な横顔のまま、佐伯さんは続けた。

「社長と結婚してから、体調が良さそうに見える」

「……まあ、いいものを食べさせてもらっているので」

 思わず苦笑して言葉を濁す。

 至れり尽くせりで、本当にありがたいことです、と心の中でつけ加える。

けれど、さすがに佐伯さんにそんな雑談を聞かせるわけにはいかない。

「前より明るくなった気がする」

「そうですか?」

 根っこは変わっていないけれど、以前は常に時間に追われ、眉間に皺を寄せて仕事をしていた自覚はある。

そう思えば、彼の言葉も頷ける。

「……幸せそうだな」

 佐伯さんはどこか寂しげだったけれど、その声音は不思議と温かかった。

「そう……ですね、今は」

 いつまで続くかはわからない。

大翔の気分ひとつで、明日にはバツイチになっているかもしれない。

 急に離婚したと知ったら、会社の人たちはどんな反応をするのだろう。