【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 ……でも、気づいてしまった。

 私、大翔のことを好きになってる。

 自嘲の笑みが零れる。ずっと前から気づいていた気持ち。

 ただ言葉にしていなかっただけなのに、今さら認めてしまうなんて。

 わざわざ自分から傷つきにいくようなものだ。

本当にバカだなって、思わず呆れる。

「大翔、ご飯作ったよ!」

 声をかけると、大翔はハッと我に返ったように顔を上げた。

「え、俺の分も?」

「うん。たいしたものは作れないけど」

 テーブルに並べていくのは、肉じゃが、たことさきいかのピリ辛マリネ、しらすと水菜のサラダ。土鍋で炊いたご飯に、なめこのお味噌汁。

 本当に普通の家庭料理。

盛りつけのセンスもなく、いつも大翔が口にしている高級店の料理に比べれば見劣りする。

 けれど、家で食べるならこれでいい。自分にそう言い聞かせた。

「ビール飲む?」

「ああ……うん」

「じゃあ、私も飲もうっと」

 大翔は驚いたように、しばらくテーブルを見つめていた。

「俺も……食べていいの?」

「もちろん。一緒に食べようよ」

「……ごめん、手間かけさせちゃって。俺も手伝えば良かったな」