【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

　家に帰ると、ソファでは継母と継娘がテレビを見ながらポテトチップスを頬張っていた。

「もう遅い～。お腹空いたからお菓子食べちゃった。太ったらあんたのせいだからね」

　明るく染めた髪をパーマで巻いた継娘は、ズボラな性格がそのまま毛先の傷みに出ていた。

　継母も若い頃は美人だったのだろうけれど、きつい性格が顔に刻まれていて、吊り上がった目は狐を思わせる。

　私は二人に取り合わず、キッチンへ直行する。

帰りに買ってきた食材を、息をつく間もなく冷蔵庫に入れる。

　ダイニングテーブルでは、父が新聞を広げていた。

疲れた表情のまま、テレビとソファを占領する二人に居場所を奪われている。

　──どうしてあの二人の言いなりになるんだろう。

　けれど私も同じ。自分を犠牲にして従っているのだから、父を責めることはできない。

　不幸に抗う気力なんて、どちらにもないのかもしれない。

自分さえ我慢すれば、見せかけの平和は続くから。

　手際よくいくつかおかずを作り、残りはタッパに詰めて冷蔵庫へ。

数日は持つはず。でも、気まぐれな継母と継娘のことだ。

また文句を言って、作りに帰ってこいと要求してくるのだろう。