「ダメです。親だとしても、依里は渡しません。 依里との時間を邪魔されるなんて御免です」 「まぁまぁ、晴人さん。 月に一回くらいなら、いいんじゃないですか? 少しくらい外に出ないと、体に悪いですし」 晴人と結婚してから、依里の行動範囲は極端に狭くなった。 近くに行くとしても、必ずSPが付いて、目立つことこの上ない。 そもそも、依里がわざわざ外に出なくとも、用事があれば晴人が雇った人間だけですべて済ませてしまう。