旦那様は、そんな奥様に惹かれてやまないのでしょう。 少しですが、奥様が傍にいると、旦那様の顔が少し緩むのです。 長年仕えているからこそわかる、微妙な変化。 お仕えする主人の幸せは使用人の幸せでもあります。 「奥様、私はそろそろご夕食の確認をしてまいります」 「もうそんな時間なのね。お願い」 「はい。では失礼いたします」 私は一礼して、その場を辞します。