私は、こんなにも気遣ってもらっても良い人間なのだろうか。


この人と一緒になるということは、いつか、この人をひどい目に遭わせてしまうということだ。


……本当に、それで良いのだろうか?


「私も、そうなれることを願っています」


けれど、気づいたときにはもう遅かった。

私の口からは颯霞さんとの婚約への承諾と取られる台詞(せりふ)が発せられていた。


いつか後悔する日が来ると分かっていても、私は結局冷たい人間なのだ。

今は私情を押し殺して、国のためになる行動を一番にと考えている。


そんな私を、絶対に誰にも知られてはならない。


でも、この氷織颯霞になら、知られても良いと不覚にも思ってしまっていた。