もう、どうしたら間違いで、どうしたら正解なのかが分からない。真っ暗で何もない道を、一人で彷徨っているみたいだ。


そして、誰が、こんな展開を予想できていただろうか。


屯所に向かう途中、颯霞さんは突然振り返って、私の方に目を向けた。

その瞳は、真摯すぎて、何だか少し怖かった。気づかぬうちに背筋が伸びる。


「七海さん。───俺に、七海さんを抱かせてくれませんか」


空耳、だったら良かったのに。


そうだったのなら、私はまだ、大丈夫だったのに。


颯霞さんと隣町へ行った後、そこからどうやって自分たちの住む都会に帰ってきたのか、全く覚えていない。

颯霞さんも終始真顔で、何を考えているのか分からなかった。