忘れられない恋

「あァァーーー!!!」







私はスタッフルームで、思い出すかのように大きな声をあげていた。







私の声にびっくりしたのか、携帯電話販売員である私の同僚、町川《まちかわ》美優《みゆ》が慌ててスタッフルームに入って来る。


就業前ということもあって、静けさに包まれていた。



「どしたの?なんかあった結空!」



美優は目を見開きながら私の様子を伺う。



「あっごめん……会えんじゃん!」



「誰に?」



美優は私の隣に座り、私の話を聞いた。



「えっと、こないだね……仁くんの友達とすれ違ったの。それで仁くんの連絡先知ってるはずだから、その時に仁くんの連絡先教えてもらえば良かったんだけど」



私は中島先輩とすれ違うが、

仁くんと逢えなかったショックで、

そんなことを考える余裕もなかった。



「あちゃーー。それは聞いときたかったね」



「気が動転してたし……でも、他にもあった」



「え?何よ?」



「行けばいいじゃん!」