その後、
二人はたくさんの思い出を作っていく。
「めっちゃ可愛い」
仁くんは私を見て、そう言った。
それは私にとって、魔法の言葉だった。
大好きな人から言われて私は、
嬉しい気分になれた。
今日は文化祭。
二人は一緒に文化祭を回るらしい。
普段しない化粧……
今日は特別。
親友の遥に私は化粧をしてもらった。
いつもと違う顔に最初は不安だったけど、
今は不安なんて一切ないよ。
仁くんが『可愛い』って言ってくれたから。
それに遥や小田先輩も言ってくれた。
『化粧しなくても可愛いけど、凄く美人だよ!』
『結空ちゃん化粧した?めっちゃ可愛いじゃん!』
周りの目が気になり、
緊張する私にとって、
二人の言葉に救われる。
「早く行こう」
仁くんは優しく手を差し伸ばし、
私と手を繋ぐ。
皆んなが見ている中、
堂々と爽やかな笑顔で私を包み込んでいた。
ドキドキした熱い感情を溢れ出さないように、仁くんの腕に引っ付きながら出し物を見て回る。
心臓の音は正直だった。
仁くんの匂い、仕草、そして振る舞い方。
その全てが、仁くんと一緒に居て心地良かった。


