忘れられない恋

夜になり、居酒屋に俺と海斗の姿があった。


今日は土曜日とあって、店内は満席と大賑わい。


賑わう中、海斗はビールを飲みながら、言った。



「莉緒これないってさ」



「忙しいんじゃないの?仕事だろ?」



「たぶんね!最近、夜遅くまでやってるらしいから」



「中島さんも頑張ってんだね。もう何年も会ってないからさ」



「そっか。仁は卒業してから、莉緒とは一回も会ってないんだっけ?」



「いや、一回だけプロポーズ丘公園で会ったよ」



「あーー。そう言えば莉緒も言ってたっけ?」



「てかさ……聞いてくれよ!プロポーズ丘公園で思い出したけど、今日さ……」



「どした?」



「久しぶりに会ったんだよ」



「え?誰に?」



「その……結空に」



「はあ!嘘だろ?」


海斗は目を丸くし、動きが止まる。



「いやーーマジマジ!俺もびっくりしたよ。まさか会うとは」



「あの日、待ち合わせ場所に遅れてしまって、会えなかったんだろ?ちゃんと謝ったのか?」



「いや、それが結空、そもそも行ってないらしい。気まずすぎてヤバかったわ。でも、まぁ……もう四年も経つからさ」


俺は苦笑いをする。


あの日、事故の影響で遅れてしまい、一人寂しく誰も居ないプロポーズ丘公園に行った日の自分のことを思い出す。



「そっか。で?聞いたのか?なんで来なかったのか?」


海斗は腕を組みながら俺に尋ねた。



「いや、それが……聞けなかった」



「はァあ!何でだよ?情けないね!俺だったら問い詰めてビンタよビンタ!」


海斗はビールを飲み干し、酔い始めた。



「おい!飲み過ぎ。お前酒弱いんだから!」



「いいじゃねえか。お姉さん、ビールおかわり」


海斗は店員に注文する。



「おいおい。その辺にしとけって!」



「何でよ。仁ちゃん飲ましてくれよ!」


 
「お前のだる絡みが嫌なんだよ!」


俺はこの後、海斗の介抱に追われた。