メイナ村の改造計画は地道に進んでいた。

 うろ覚えの知識で作られた石窯は、村の年長者たちの助言もあって正しい形に完成し、さっそく運用が始まった。

(ピザ食べたーい)

 畑の柵にもたれながら石窯で作られたパンをかじり、エステルはしみじみと前世食べたものに想いを馳せていた。

 冬場に必須の燃料となる炭を作るための施設だったが、複数ある石窯のひとつをパンの生産に使用している。

 各々の家庭で作られるものとは違い、短時間で焼き上がる石窯パンは表面のかりっとした食感が最高だ。